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執筆者の写真Re:ALL

【Re:ALL ✖️ ARTOFFICE】それでも僕らは音楽をやめない。コラボMV企画7000字インタビュー

更新日:2021年4月22日

人の集まるイベントそのものが失われつつある中、

音楽と私たちの距離は開きつつあるようにも見えます。


そんな中早稲田のバンドサークル ARTOFFICE は、

「×ART」という企画を始動しました。キャッチコピーは、「それでも僕らは音楽をやめない」。

大学生の音楽サークル同士が連携して MV を作成するこの企画は、どのような経緯で、

またどのような思いから生まれたのでしょうか。


ARTOFFICE 新歓代表の野口さんにお話を伺いました。



 


野口:ARTOFFICE 新歓係の野口麦です! よろしくお願いします!

Re:ALL一同:お願いします!





浅野:まずは、ARTOFFICE さんの基本情報について簡単にお伺いしたいです。ARTOFFICE さんは公認サークルということで大丈夫ですか?


野口:そうです。


浅野:週どのくらい活動するんですか?


野口:週活動はどこのバンド系サークルもそうなんですけど、基本的にはなくって。

例年だと月一開催の「月ライブ」というのが企画されているので、それに合わせてバンド組み会議のようなことをやって、あとは完全にそのバンド単位で活動してもらうという感じです。一応「月ライブ」が定期的な活動にはなっていますが、それ以外は特にありません。


浅野:そうなんですね。なかなかコロナで合わせる時間が無かったと思うのですが、恐らくそういった背景もあって、今回の MV 企画が立ち上がったのだと伺っています。どういった経緯でこの MV企画をやろうと思ったのかお聞かせ願えますか?




野口:やっぱり今一番大きいのは、コロナというイレギュラーな状態が続いていることですね。早稲田はサークルの数も所属人数も多いですし、バンドサークルだけでも20個くらいあって、例年通りだと新入生の取り合いというか(笑)。いかに自分たちの強みを押し出してサークル員を多く取り込むかという、柔らかめのバトルみたいなものが行われていました。


一同:バトル(笑)


野口:ただ、ほとんどのイベントはコロナで潰れてしまったので、新歓活動は各サークルで様子見になりました。オンライン新歓も試行錯誤をしながらやってた状態でした。これまでも大きなコラボ企画はなかったので、どのサークルも何をしたらいいかわからない状態が続いたのが去年でしたね。


石田:なるほど……。


野口:それから代替わりして、新体制になった時にちょっとしたリサーチというか、バンド系サークル周りの1年生の現状を把握しようと思ったんです。すると、例年とは大きく異なる特徴が分かりました。それは兼サー率がすごく高いということでした。


一同:へぇー。


野口:僕自身も ARTOFFICE と、もう1つ軽音サークルを兼サーしていますが、やっぱり兼サーは大変ですね。ただ今年になって3つ4つ兼サーしている後輩も増え始めて、これは何が起きているんだろう、って(笑)。

 現状、あまり活発な活動ができていないので、様子見で入っている人がかなり多かったみたいです。ライブもないので出費も少なく「入るだけ入っていよう」という人も多かったです。

 新歓に関していえば、これまで音楽サークル同士が勝負するというコラボの形をとっていましたが、それでは LoseLose みたいな感じで双方のデメリットになってしまっていると思い至りました。なので、まずはバンドサークル自体に興味を持ってもらう新入生の母数を増やすることができれば、結果的に入会数も多くなるのではないかと予測しました。そこで「勝負」ではなく「協力」という形でのコラボを行おうと思った結果が、今回の MV企画なんですね。


浅野:ではこの企画は新歓に向けてというか、新入生が集まらない状況を打破したいという思いから始まったという認識で大丈夫ですか?


野口:そうですね、やっぱり Twitter などを見ると「軽音サークル入ってみたいけどイベントできないじゃん」という感じで、軽音サークル自体に興味が薄れちゃってる新入生が見受けられました。





石田:なるほど〜。


浅野:そうですよね……。Re:ALL をはじめ出版サークルも沢山あるのですが、1つ1つがバラバラに新歓を行うと、出版サークルそのものに興味持ってもらう機会が少なくなってしまうという状況があって、合同新歓を開催したりもしています。なので「他のサークルとのコラボ企画」というのはキャッチーですし、新入生のタッチポイントにはなりやすいのではないかと思いますね。


浅野:それでなぜ今回は MV という形をとったのでしょうか?

夜に駆ける:MVより抜粋

野口:MV に決まるまでにも紆余曲折があって。最初はオンラインライブをしようという話があったんですね。ただ、スタジオで演奏している風景を撮る形はどのサークルでも行っていて、先例がありすぎるというのがまずあったんですね。それと、やっぱり去年のバンドサークルの活動状況を見ると、観客を入れられないという点が大きくて。スタジオ収録ライブって言って、スタジオで演奏している様子を撮影し、それを共有してライブ感を出す、みたいなのは割ともうやられちゃってる企画ではあったんですね。「新歓」においてインパクトを大きくするためにはそれではちょっと弱いということで、色々話しあった結果、差別化とクオリティの高い音源を両立できる MV 作成にしようという結論に至りましたね。


浅野:音源を別々に撮って、それをミックスするっていうのも今らしいと言うか。なかなか日程を合わせて対面で合わせるのも厳しいですしね。

 反響に関して言えば、「ZIP!」で昨日(3月18日)取り上げられたとお伺いしました。4月から発表していき、これから更に反響が大きくなりそうだと思うんですが、この辺りの手ごたえはいかがですか?



野口:先日の「ZIP!」の放送に関しては、本当にすごくバタバタだったんです。というのも、3月8日に緊急事態宣言が延長されてしまったために、ずっと予定されたスタジオ撮影が一旦全部キャンセルになって。


石田:そうだったんですね。


野口:やっぱり (スタジオでの撮影が) 許可されないだろうっていうことで、それだったらさっさと別のやつに移ろうということで。

 全部の撮影を3月22日以降にすると、4月1日の公開に間に合わない可能性があったので、とりあえずいくつかのサークルだけは先に個人撮影をしていこうってなって。

  その個人撮影をちょうど行っていた日だったんですね。個人撮影が一通り終わった日の夜に、ARTOFFICE が登録している、民間のオンライン新歓団体みたいなところから連絡が来て、「ZIP!」 から取材させてくれないかという依頼が。「今所属してくれてる団体サークルさん全部に募集をかけてます、それで放送が明後日です」っていう(笑)。

 今日の撮影のことでちょうど LINE を見ていた時に、その依頼が来て、1分くらいで返信したんですね。「出ます! やらせてください!」って。


Re:ALL一同:すごい。


野口:そのあと、動画編集をしてくれている方に、「動画のことなんですけど、明日までにお願いできますか」って。そしたら (動画編集の方も) 「明日!?」って驚いて。


石田:え~!


野口:本当は3月25日に完成予定だったんですよね。「(「ZIP!」での放送は) 30秒だけの尺らしいので、30秒分だけ明日までに作ってもらえませんかね」と言って。その人には苦労をかけたんですけど、何とかぎりぎり間に合ったという感じでしたね。


石田:そうだったんですね。でもそこで30秒の動画が完成するっていうチームワークの良さっていうか。


野口:めちゃめちゃ仕事早いですよ、その人(笑)。


浅野:MV自体ってもう完成しているんですかね?


野口:もう全然完成してないですよ(笑)。本当は、 (公開初日の) 4月1日より一週間前に公開予定だったんですね。ただ「ZIP!」が入るということで、ロゴを描いてくださっている方に、「すみません、ちょっと明日までにロゴを完成させていただけますかね!」と言って。それでなんとか。もう全部「ZIP!」 に合わせて急いで整備したっていう感じでしたね。


浅野:4月から発表していくと思うんですけど、今も進行中ということで。結構スケジュールがタイトというか。


野口:緊急事態宣言延長はかなり厳しかったですね、その意味で言うと。今もきついですねやっぱり。

MFC というサークルとコラボする予定があるんですけど、そこは「ホーン隊」というトランペットとかサックスとかも参加してる団体で。人数が多いので、もう4月以降しか日程調整が合わないことになってしまって。

 また日程調整やってるんですけど、やっぱりちょっときつかったですね、あれは。


浅野:緊急事態宣言があるから何とも言えないタイミング、という感じはしましたね。コラボは今までやってきたんですか? ARTOFFICE さんの歴史は長いと思うのですが 。



ブルーベリーナイツ:練習風景

野口:MV という形では今回行ったのが初めてでしたね。ある意味、この状況が無ければ達成できなかったっていうのが、このコラボ MV だな、という風に思いますね。


 コラボライブ自体はコロナ以前には行ってました。一番有名なもので言えば、ロッククライミングという、早稲田の一番有名なバンドサークルが企画してる「早稲田大学12大バンドサークル合同ライブ」が、例年学生会館で行われていました。ですが去年は中止になって。今年もちょっと分からないけれど、少なくても4月にはやらないらしいので。


浅野:毎年コラボはしていたけれども、今年新たに MV という形をとったということですね 。新歓の時期なので、そちらの方にも効果があればというふうに。

 次に、 MV の内容についてお聞きします。基本的にその MV の内容っていうのは、コピーバンドが楽曲のコピー、という感じで大丈夫ですか?


野口:そうですね、楽曲のコピーです。


浅野:MV は、楽曲の MV をコピーするのか、もしくは別に自分たちで撮影を行うんですか ?


野口:楽曲はコピーなんですけど 、MV に関しては特にコピーという感じではなくて。むしろオリジナル系の MV でやろうと思ってます。


浅野:今回オススメの MV はありますか?

野口:もう、全部すごいんですよ! ただおススメという意味でいうと2つですね。緊急事態宣言が伸びちゃって、スタジオ撮影が出来なくなってしまった2つです。


 4月1日公開予定の「ALLWAYS×ARTOFFICE」の「東京事変」の「キラーチューン」という曲と、あと4月5日公開の 「FGAgrooveARTOFFICE三サークル」合同の「夜に駆ける」。後者は、この前の 「ZIP!」 で放送されたやつです。イレギュラーな状況でも頑張ったという意味で、おススメです。


キラーチューン:MVより抜粋

「キラーチューン」も個人撮影でやったものですが、個人撮影を寄せ集めただけのものではちょっとつまらないということで、色々工夫を凝らしています。是非見ていただければ、と思いますね。


浅野:4月1日と4月5日公開の MV に参加される ALLWAYS さんと、FGA さん、groove さんは、スタジオ撮影ではなく、個人撮影を MV に組み直したという形で作成したのですね。


野口:そういうことです。


浅野:自分も「ZIP!」の映像を少し見たくらいなので、すごく楽しみです!


野口:ありがとうございます。是非……!


浅野:楽曲そのものの手ごたえはありますか?


野口:最初は、コラボを ALLWAYS とだけしようっていう話ではあったんですね。きっともっと大変だろうと考えていたので。でも、思ったよりももっとできそういうことで参加サークルを増やし、結局 ARTOFFICE を含めて8サークルのコラボになりました。どれも高いクオリティを出していますね。僕も音源聞いてびっくりするくらいの。「あなたのところ初心者歓迎なのにこんななんですか!? すごくないですか!?」みたいな感じで。


石田:(笑)


野口:やっぱり、新歓ライブができないということでモチベーションが高い団体さんが多くて。すごく良いものを出してもらってますね。


浅野:すごいなぁ。普段から関わりのない方と一緒に音楽作っていくってことはなかなか難しそうだなと思うのですが。お互いのこういう音にしたいとか、どういう歌声にしたいとか、そこら辺を擦り合わせることとか。

 割とそのあたりはスムーズにいったんですか?


野口:そうですね。そのあたりが上手く言った理由が2つあって。

 まず1つはみんなモチベーションに溢れているということです。この状況を乗り切りたいっていう思いは多分どのサークルも同じっていうところがあって、すごくクオリティの高いものを用意してくれたというのがあります。


 もう1つが、決める順番ですね。メンバーを決めて楽曲を決めるという順番ではなかったんです。まず曲を決めて、それからパートの割り振りを決めて、その曲のソロパートをやるのに最適な人をそれぞれのサークルから出してもらう形をとったんです。


 例えば「キラーチューン」で言うと、まず曲が決まって、ボーカル・ドラムは ALLWAYS で、その他は ARTOFFICE が担当するという運びになりました。あとはそれぞれのサークルで、「東京事変のボーカルとドラムだったらこの人に任せるのが適当だろう」という人を出していく形が取れたので、ミスマッチが起きにくかったというのがありますね。


浅野:自分のやりたい楽曲ができるという形になっているんですね。


野口:そうそう。


浅野:すごいなぁ。どうしても自分がやりたくない楽曲をやることになりそうだなと思っていたので。やりたい人がちゃんと集まって、各パートに分かれるという形なんですね。


野口:そうですそうです。


石田:楽曲自体についてお聞きします。楽曲を選ぶ基準や、どうしてその楽曲を選んだのか、理由などはありますか?


野口:あんまりマイナーな曲はやめようということにはなっていましたね。ある程度みんなが知ってる曲じゃないと、まず聞いてもらえなくなってしまうかな、という意味で。ある程度の知名度がある曲を、というのがあります。

 もう1つ重要だなと思ったのが、コラボ先のサークルの良さが出る楽曲にすることですね。

キラーチューン:練習風景

例えば「キラーチューン」に関して。コラボ先の ALLWAYS というサークルは、その楽曲の演奏技術以外のところ、パフォーマンスなどを本人に寄せている、というのが有名で。

声質が「椎名林檎 (東京事変ボーカル)」にとても似ているボーカルの方が入ってるんですよ。その再現度の凄さ、良さを出せる、ということで東京事変を選びました。


 また、さきほど挙げた MFC というサークルはホーン隊がいまして。せっかくならホーン隊を入れるのが MFC の良さが一番出るということで、「Bruno Mars (ブルーノ・マーズ)」というアーティストの曲を使うということになりました。




 そのサークルの良さが出ることをポイントに選曲してるというのはあります。


石田:そうだったんですね。そのサークルの良さとして、サークル間で共通認識のようなものはあるのですか?


野口:こちらから楽曲を提案させて頂いて、それが OK かどうかも含めながら一緒に相談していくという感じですね。「僕的にはあなたのサークルにはこんな感じの楽曲がいいと思うんですけどどうでしょうか」、「あ、それだったらこっちやりたいかもしれないです」という風に。返答を貰いながら曲決める、という感じです。


石田:へぇー。ありがとうございます。


浅野:曲の組み方、選曲の仕方、音源の作り方、 いろんな発想が全部いい感じに組み合わさっていて、そこがすごいなぁと思います。


野口:ありがとうございます。


浅野:最後に、野口さんは新歓担当ということで、新入生にどういったことを伝えたいのか、どういったメッセージを送りたいのか、というのをお聞かせ願えればと思います。


野口:この企画は「×ART」(かけるアート)といいます。そしてそのキャッチコピーが、「それでも僕らは音楽をやめない」というものです。

 コロナの状況下で、音楽に対するモチベーション自体が下がっている。実際下がってる人もいるし、下がっているんじゃないかと新入生の方から思われているかもしれない、ということには自覚があるんですね。

 だけど、それでも僕らは音楽をやめない。

 率直に言ってしまうと、今回の企画はコロナだからこそ出来た部分もあります。ですが、少なくともバンドサークルにコロナという状況がプラスに働いていることは無いと思うんです。 


 だけど、それでも僕らは音楽が好きだから、そのマイナスを含めて音楽が好きだから、色々と方法を工夫してやっている。

 だから、音楽が好きだけど、コロナだから音楽できないじゃんという気持ちで諦めるのはやめてほしい。

 もしかしたら今年もライブができないかもしれないけど、でもその代わり本当に音楽が好きな人たちが集まっているから、音楽が出来るように、様々な工夫をこれからもしていこうと思っている。

 それでも僕たちは音楽をやめないので、是非音楽サークルに参加して欲しいな、音楽やってほしいな、という風に思いますね。


浅野:ありがとうございます。野口さん含め ARTOFFICE さんの意志が新入生に伝わるような記事を作りたいと思いました。インタビューはこちらで以上になります。ありがとうございました。


石田:MV 撮影頑張ってください! 本日は本当にありがとうございました。


野口:ありがとうございました。



 


野口さんの情熱がひしひしと伝わった30分でした!


どこも新入生が集まらないこのご時世、MV を通して少しでも早稲田のバンドサークルの魅力が伝われば良いですね!


4/1に随時 MV が解禁されるので、ぜひチェックしみてくださいね!



【公開MV集】














▼ MV公開日程


(画像:ARTOFFICEさん)

▼ ARTOFFICEさん基本情報

  • 団体名:ARTOFFICE

  • 主な音楽ジャンル:J-POP

  • 所属人数:120

  • 活動頻度月:1回

  • 活動場所:高田馬場のスタジオ、都内のライブハウス

  • サークルの形態:早稲田大学公認、インカレサークル

  • SNS:@w_ArtOffice


▼ 新歓情報

▼ 各種サークル情報

  • オリジナルソング研究会ALLWAYS (@ALLWAYS_W)

  • 東大FGA (@FGAofficial)

  • groove (@groove_keion)

  • New Music Club (@waseda_nmc)

  • Music Fan Club (@Music_fan_club)

  • 音楽サークル星空 (@hoshizora1966)

  • シャンソン研究会 (@WasedaCS)

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