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執筆者の写真Re:ALL

リレー紙芝居 〜大どんでん返し無限列車編〜

 みなさん、物語を求めていませんか? ちょうどいいやつ、ありますよ。ゆるふわ冒険劇が始まるかと思いきや、どんでん返しの連続! もはやハムスターの回し車! 回収されぬまま、ただひたすらに撒き散らされる伏線! ル○バ出動要請! 予想の成層圏の遥か上をゆくラストに刮目せよ!


【リレー紙芝居とは!?】

 1枚の絵と物語を書いて次の人にバトンタッチ! その限られた情報だけをもとに物語を展開させていくゥ! 参加者は8人! 物足りなかったので2周したよ!



いつかのお話、どこかの工場にぬいぐるみのくまさんがいました。


くまさんは工場のおじさんたちにかわいがられ、いつか誰かに必要とされる日を心待ちにしていました。


そんなある日、工場のおじさんが誤ってくまさんの耳を傷つけてしまいました。


耳の欠けたくまさんは売り物にはなりません。


大人たちは話し合い、くまさんを廃棄処分にすることが決定しました。


この話をこっそり盗み聞きしていたくまさんは焦りました!


「このままここにいたら誰にも必要とされずに捨てられてしまう……。そんなの嫌だ!!」


そこでくまさんはみんなの寝静まった真夜中に一匹、こっそり工場を出ました。


空にはどんよりと雲がかかり、時折月のつめたい光が洩れてきます。くらーいくらい一本道を、くまさんはとぼとぼ歩きます。


うしろをふりかえっても、もう工場はみえません。

「ぼくはこのまま、ずっとひとりなのかな」

とうとうくまさんは立ち止まってしまいました。


するとそのとき、ガサガサッ! と何かが右の草むらから飛び出してきました。


「うわっ! ぼーっとつったってんじゃねえよ! あぶねえなあ……。ん? おまえどっかでみた顔だな」


「ああ、街のおもちゃ屋によくいるやつじゃねえか?」


「でもそれにしちゃあ、耳の形が変だ」


「捨てられたのか? おれたちと一緒だな!」


野良猫たちはそういって、くまさんに笑いかけました。


突然のことにくまさんは固まりました。


「こいつ反応しねぇぞ」


「知らねぇのが話してるからだろ」


「そうかぁ。おれヘラ」


「おれニヤ」


「……」


「だめじゃねぇか」


「ねえ」くまさんです。


「おもちゃ屋って? 工場と違うの?」


「おまえ知らねぇの。おもちゃ屋はな、おまえみたいなのが沢山いるんだ」


「……ぼくみたいな?」


「そうさ。まあおまえみたいな耳の欠けたのはいねぇけど」

くまさんは二匹を見ます。


「ぼくおもちゃ屋行きたい……」


しかし2匹の反応はよくありません。


「……あそこ面倒なのがいてなぁ」


「……おれらよく追い払われるんだよなぁ」


くまさんは見つめ続けてます。


「……お前行きたいの?」


ニヤが折れました。くまさんは頷きます。


くまさんは2匹とおもちゃ屋へ向かいました。


ここから、おもちゃ屋は少し離れた場所にありました。


ニヤは言いました。

「おまえの名前を教えてくれよ。俺たちはもうさっき教えただろ?おもちゃ屋までちょっと歩くんだし名前くらい知っていても悪くないだろ?」


ヘラも続き

「そうだ、そうだ。おもちゃ屋から帰ってくる頃には俺らダチさ」


くまさんは、相変わらずボーッとしていました。


「おまえ自分の名前もわからないのか? 困った奴だぜ」

2匹とも困惑しています。


くまさんは

「僕の名前……?」


「おいおいマジかよ。勘弁してくれ」


くまさんは黙ってしまいました。


2匹とも黙ってしまいました。


ニヤは何か話を広げようとしましたが、くまさんは相変わらず無口です。


少し歩いて、ヘラはあることに気がついてしまいました。くまさんの後ろにバーコードがあったのです。


おもちゃ屋目指して歩くくまさんに付いていきながら、ヘラは相棒のニヤに、ひそひそ話しかけました。


「こいつ、ただのくまじゃないな。見ろよ、バーコードがついてやがる」


それを聞いたニヤも、目の前のくまさんを見ました。


するとどうでしょう。くまさんの背中でバーコードが揺れているではありませんか。ニヤはびっくりして、毛を逆立てました。


「おどろいた! ついさっき知り合ったばかりだが、俺はこいつを森のくまだとばかり思っていたよ」


「森のじゃなくて、おもちゃ屋のくまだったってわけさ」


「ははあ、こいつは家に帰ろうとしているってわけだな」


二匹の猫は、そうささやきあいました。月の光が、道を優しく照らしています。


しばらくして、ぼんやり建物の影がみえてきました。


「おもちゃ屋がみえてきたよ」

無口なくまさんは二匹を振り返り、そう口にしました。


それからまもなくして、三匹は無事、おもちゃ屋の前に着きました。


夜なので、オレンジ色のドアには「CLOSED」の看板がかけられて、中は真っ暗な様子でした。


しかし時折、笑っているような声が聞こえてきます。


「誰かいるのかな」ニヤは不安げにつぶやきました。


「まさか、おばけとかじゃないよな?」


「ニヤは怖がりだなぁ。おばけなんて、いるはずないだろ」ヘラは相棒のニヤを見て、からかうように言いました。だけどニヤだって負けていません。


「ヘラだって実は怖いんだろ! 尻尾でわかるんだぞ」


「お、俺は全然怖くないもんね。だって、こいつの家かもしれないんだから」


ヘラはそう言いながら、さっきまで一緒にいた、無口なくまさんのほうを見ました。


しかしそこにはもう、くまさんの背中についていたバーコードのタグが落ちている以外、何もありませんでした。


ニヤとヘラは息を呑んだ。

今しがたそこにいたはずのクマは忽然と姿を眩ませていたのだ。

「あの野郎! さては抜け駆けしやがったな!」

ニヤは声を荒げてそう言った。

ヘラは荒々しく舌打ちをしながらドアノブを掴み、そして勢いよく回した。

不自然にもドアは音もなくゆっくりと開いた。

その刹那である。

わずかに覗かせたその間隙から見覚えのあるたくましい、しかし一切の温かみを失った腕がぬっと伸び、乱暴にヘラの首根っこを掴んだ。

「ミ゙ャッッッ」

耳をつんざくような断末魔があたりに響いたかと思うと、そこにはもうヘラの姿はなかった。

あまりの悲鳴にとっさに耳を塞ぎ、萎縮するばかりだったニヤは、ハッと頭をもたげ、視線を先ヘと送った。

ヘラを連れ去っただろうその腕が無情にもニヤへと迫る。

『オモチャヤ』——— 巷でそう囁かれた古い洋館は、決して開けてはならないパンドラの箱だったのだ。



「ここは、どこだ?」

ニヤが目を覚ますとそこは暗い森の中のようであった。ふと周りに目をやるとそこにヘラが横たわっていた。


「ヘラ! 無事か?」

ヘラは反応しない。

「もしかして、死んだのか……?」

ヘラは反応しない。


「おい……! なんでだよ! なんでこんなところで死ぬんだよっ!」


「約束したじゃないかっ! 来週、お前の家でたこやきパーティーやるって! そこで、たこの入ってないたこやき、"無焼き"を作るって! あの約束した時お前言っただろ? 『おい! 無焼きってなんだよ!? たこを入れなくても他の具があるじゃないか! そういった存在をお前は無視するのか?』って! そこで俺は改心したんだ。俺はたこ以外の全てを無視してきたんだって! お前が教えてくれたおかげだよ。それが……! どうして……! お前がいなくっちゃ、俺はまさに"無焼き"じゃないかっ……!」

ヘラは反応しない。


「それに、まだ伝えてないことがたくさんあるんだ……! だから、なあ、起きろよ……! おい! 起きてくれよっ……!」

ヘラは……反応しない。


「おいおい、こんなところで死ぬのかよ?それでもッ……それでもお前は俺の息子かーーーーーっ!!!」

ニヤの叫び声が森の中でこだました。その時、空気が震えた。木々が揺れた。小鳥たちは目覚め、空に舞い上がり一斉にさえずり始めた。

ある文学賞の受賞式で彼は語った。

「ある日私は森を散歩していました。すると突然、猫の鳴き声が響いて、森が轟き、鳥が一斉に鳴き始めたんですよ。そして生まれたのが今回の作品です。」



栄えあるウサちゃん文学賞受賞式の場で彼は続けた。


「始めは何が起こっているのかわかりませんでした。

倒れているブチ猫を泣きながら揺さぶるクリーム色の猫。ブチ猫の方は顔色も悪く、呼吸も浅くて今にも死にそうだったのです。


しかし『それでもお前は俺の息子かーーーーーっ!!!』とクリーム色の猫が叫んだ瞬間、奇跡が起こったのです。


森はまばゆいほどに光り、あたり一面を青色に染め上げたのでした。光の原因である青い球体に触れた瞬間、ブチ猫の顔色は瞬く間に良くなり、呼吸は苦しげなものから穏やかに変わりました。


ゆるりと目を開いたブチ猫は、クリーム色の猫にまるで泣かないで、と言うように顔をこすりつけました。ポロリとこぼれたクリーム色の猫の涙は、地面に消えていきました。世にも美しいあの光景は今でもこの胸に焼き付いています」



「青い球体はしだいに小さくなり、そのままゆっくりと消えてゆきました。


森のざわめきも、いつの間にか止んでいました。


『なんだったんだろう……』クリーム色の猫はつぶやきました。


『きっと、この森にすむ精霊だよ、父さん』

今にも死んでしまいそうだったさっきまでとは打って変わり、とても穏やかな表情でぶち猫は答えました。薄明るい星の光が2匹の猫を優しく包み込み、夜はしんしんとふけてゆきました」

彼はそっと原稿を閉じた。瞬間、割れんばかりの拍手が会場内に鳴り響いた。


拍手喝采のなかで、ウサギは壇上で今までの苦労を思い、感慨にふけっていました。

そのときです。


「ちょっと待ったぁ!」

黒ずくめのウサギがパーティー会場のドアの前に立っていました。


明らかに不審者です。


会場は先ほどまでのお祝いムードが一変しました。


すぐに一匹の警備員ウサギが捕まえようとします。その時、


「ッはラッパ!!!」


黒ずくめのウサギが変な声を出したかと思うと、警備員ウサギは会場の隅に倒れていました。


みんな倒れてしまい、警備員ウサギは使い物になりません。


不審者は未だに奇声をあげ周りのウサギたちを倒してしまいました。


壇上に立っていたウサギは自分が狙われていることに気が付きました。


最後のウサギが倒され残りが自分だけになってしまったその時

「ちょっと待った〜!」


そこにはおもちゃ屋帰りのくまさんとニヤとヘラが立っていました。


「キエー! お前ら、いったい何者なんだ!」


警備員ウサギを倒し、とうとう壇上のウサギに手をかけようとした不審者は、突如現れた三匹組に驚き叫びました。


「俺はニヤ」


「俺はヘラ」


「そしてぼくはおもちゃ屋のくま。大事なウサチャン文学賞授賞式を台無しにするなんて、

赦さないぞ」


そういうと三匹はいっせいに飛び掛かり、不審者を捕らえました。


三匹の勝利です。


3匹の活躍のおかげで、第188回目のウサチャン文学賞授賞式はその後無事に終わりました。


「俺らも片付け手伝うよ、何すれば良いかな」

ヘラはおもちゃ屋のくまに尋ねました。

「助かるよ! うーんと、何をしてもらおうかな……」

くまはふかふかとした腕を組みながら、辺りをキョロキョロと見回しました。


「あ、それじゃあ……2匹とも、ちょっとこっちに来てくれるかな?」


そう言うと、くまはヘラとニヤを会場の隅に連れていきました。


そこには、さっき3匹が捕まえた不審者が捕まっていました。リボンでしっかりと柱に縛りつけられています。


「ずっと気になってたけど、こいつはどうなっちゃうの?」


ニヤが少し不安そうな顔をして言いました。


「ニルナリヤクナリスキニシロ」

抑揚のない声で不審者は言った。

手をこまねくニヤを他所に、ヘラが不審者の胸ぐらを掴んだ。

「洗いざらい話してもらおうか」

「ナニモハナスコトナドナイ」

「ふざけるな!」

「ジッ……ジジジ……」

無機質なノイズが答えた。

「何かおかしい」

異変を察したヘラが不審者を突き放した。

その刹那である。

不審者の皮膚が音もなく溶け出し、次第に機械のボディーが露わになった。

二匹は息を呑んだ。

不気味なほどに光沢を放つボディーにダイナマイトが巻き付けられていたのだ。

「カタルシスマデ、ノコリ5ビョウ」

「待て!!」

ヘラの叫び声が会場にこだまする。

「4、3、2、1……」

だが、カウントダウンは止まらない。

「——— 0」

不吉な閃光が会場を包んだかと思うと、僅かに遅れて轟音が耳をつんざき、続いて熱風が身を焦がす。

灰塵と化した会場に生々しい鉄の臭いが漂う。

ニヤは焼けた喉を振り絞りヘラを呼ぶ。

しかし、返事はない。

かすれゆく意識の中で、ニヤの視界に何者かの影が映る。

混沌が秩序を蝕む。

次回 Episode Fin.『終わりの始まり』 



前回までのあらすじ 
いよいよ不審な存在と対峙することとなったニヤとヘラ。そんな2匹を全てを消し去ってしまいそうな閃光が包み込む。不審な存在、そしてこの閃光の正体は一体なんなのか、2匹はどうなるのか! 

オープニング「紅蓮華


光の中、何者かの影が少しずつあらわになっていく。

ニヤ「この銀色の物体、そしてこの香ばしい匂いは……?」

ニヤ、ヘラ「「焼きサバ?!?!」」

謎に包まれた不審な存在の正体、それはサバだった。あの謎の閃光がサバを焼いていたというわけだ。

ニヤ「しかもこのサバものすごくでかい!!!」

このサバ、なんと体長238メートル。六本木ヒルズと同じである。

ヘラ「わーい!」

ニヤ「ごちそうだー!!」

2匹は楽しくサバをたべましたとさ。

ヘラ、ニヤ「「もう、こんなに食べれないよー!」」

おしまい。

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